
かつて青年コミック誌で人気を博した『右曲りのダンディー』なるコミックをご記憶の方はどれほどいるだろう。ご存じのように、男性のアレは、裸のときは、もちろん真下に向かってぶら下がっているが(真上になるときもあるけど)、ズボンをはいているときは、左に曲がっている人が多いという。しかし、このコミックの主人公は右に曲がっていて、それが珍しく女性を喜ばすのである。陸上競技のトラックが左まわりに走る形になっているのも、アレが左曲がりだからだ、というチッ説があるくらいだが、実は「お店」の中も、基本的には左曲がりになっているところが多いのである。だが、女性が多く行くお店にも、この法則があてはまるので、さっきのチン説以外の理由が必要となる。そこで、まず目かくしをして歩く実験をしてみてほしい。たいがいの人がまっすぐ歩いているつもりでも、左方向に曲がってしまうはずなのだ。水泳でも同じで、どうも人間は、意識していないと左に左にと向かってしまう性質があるらしい。なぜ、人は左へ左へと向かってしまうのだろうか。これは心臓が左にあるのと関係があるとされている。そこで、店舗を設計するときにもそれが考慮されることがあるようだ。人口から入った客や、エスカレーターやエレベーターで上かって来た客が左に曲がるという前提で考えるといいとされている。つまり、店の外から見た場合、向かって右端に入口を設け、人った客が左に向かうようにするのがいいのだ。当然ながら、入ってすぐの左側に目玉商品は置かれているはず。そうすると、売れ行きがいいのである。どうも買い物がしにくいという店は、この逆になっている場合が多いのである。人の流れがスムーズにいかず、客どうしがぶつかったり、お目当ての商品がなかなか見つけにくいのも、人ってから右に曲がらなければならない店に多いらしい。右曲がりか左曲がりか……は、けっこう重要な問題なのである。