
誰だって、怪しい雰囲気のセールスマンからモノを買いたいとは思わないはず。服装が怪しい、しゃべり方が怪しい、など怪しさの要因はいろいろだが、怪しさを何より決定づけるのは目である。着こなしにあれこれ気を遣っても、目の動きが怪しい、となればそれも意味をなさなくなってくる。口ほどにものを言う目は、セールスマンの顔そのもの。お客を不審がらせるキョロキョロ視線、オドオド視線、ニヤニヤ視線、ジロジロ視線、どれも大きなイメージダウンになりかねない。一流企業の重役ともなると、入社試験にきた応募者の目を見ただけで、性格や将来性などズバリ見抜くことができるという。それほどに目は正直。ウソも、自信のなさも、そのまま表れるため、セールスマンはまず信頼される目線を習得しなければならないのだ。そこで、一流企業の営業マンもマスターさせられるというのが、日本の礼儀作法の源流、武家作法を取り入れたマナーを教える。小笠原流の信頼される目線術。その教えとは「目線、乳線、肩線」と言われるもので、お客と対話するとき、「相手の目、乳、肩を結んだ線に囲まれた部分を見る」というもの。基本的に、話す相手の話を聞くときも、相手の顔を見ることは常識的なマナー。相手とまったく視線を合わさずに会話する人もいるが、これはマナー違反である以上に(実はウソついてるんじゃないのか?)(自分に好意をもってないんじゃないか)などと、相手に不信感を抱かせてしまう。ただ、相手の目をジーッと直視しすぎてもお互い息がっまりそうになるため、印象を損なわないための視線の逃げ道を「目線、乳線、肩線」の範囲に作ったものが小笠原流だ。さっそくイメージングしてみよう。まず、左右の目を結び、両肩も線で結ぶ。さらに右目から右乳へ、左目から左乳へ、とそれぞれ線で結ぶ。これら4本の線に囲まれてできる台形がその部分。この台形の範囲を見て対話すれば、直視せずとも、相手にきちんと顔を向けて話かできるため、対人関係もスムーズになるという。視線の安定は、相手に安心感と信頼感を与える。つまり、多くの顧客を抱え込む一流のセールスマンは、セールス上手である以前に、目線上手だったということになる。この目線術は、もちろんセールスマンに限らず誰もが身につけておけば役に立つ作法。人を前にするとつい視線がフラフラさまよってしまう、そんなあなたもさっそく実践!