「当店だけの5年間保証」と「値段」の意外な関係

「当店だけの5年間保証」と「値段」の意外な関係

「当店だけの5年間保証」と「値段」の意外な関係

たいがいの家電製品は、メーカーの保証期間が1年となっている。これは、買った日から1年ということだ。

ある時期、ディスカウントショップで売られているものには、メーカーの保証書がついていなかったこともあったが、最近はそんなことはまずない。

デパートで定価で買おうが、スーパーで買おうが、量販店で買おうが、あるいはディスカウントショップで買おうが、みんな同じ。

そこで差別化をはかるため、最近はメーカー保証1年に加え、「当店独自の保証期間」というのを謳い文句にしている店も出てきた。

さらに、サービス部門を設けて、故障したら出張修理サービスを行うのを売り物にしている店もある。当然、そういう店は、安売りを看板にしている量販店であっても、ディスカウントショップよりは高い。だが、「信頼」を売り物にすることに成功して、けっこう繁盛しているようである。

「5年間保証する」と言われ、さらに壊れたら見に来てくれるとなると、客のほうはなんとなく安心するし、それならここで買おうかという気にもなる。昔の機械なら、お父さんでもネジまわしとトンカチとパンダがあれば直せたが、最近のハイテク家電では、お手上げとなってしまうからだ。

一見客側に大きなメリットがありそうなサービスだが、実は、たとえばもっとも数の出るビデオデッキでも、5年以内に修理を求められるのは、せいぜい3パーセントにすぎないという。それくらいの率なら、5年保証や出張修理サービスを付けて、多少高く売ったほうが、店側としては儲けになるというわけだ。

その3パーセントの人たちは、無料で修理してもらえて得したかもしれないが、残りの97パーセントの人は、もしかしたら壊れるかも、という不安の解消代として数千円から数万円も高い買い物をしたわけで、結局は損をしたことになってしまう。

ギャンブルと考えれば、かなり割の悪いギャンブルである。

きわめて大ざっぱな目安だけど、同じ製品で5年保証がつく店とつかない店とで、3パーセント以上価格に差があるのなら、安い店で買ったほうが得、と言えるのではないだろうか。もし故障して修理が必要になったとしても、ものによっては、修理代にわずかにプラスすれば新製品が手に入るということもあるのだから。