デパートの催事場が最上階にある本当の理由
年に数回の大バーゲンセールや「全国○○物産展」など、買い物の予定がなくても、これらのイベント広告を目にすれば、足は自然とそちらの方向へ。
とくにデパートで何かあるときのオバさんのパワーはすごい。殺気立っているようであり、子供のような好奇心に満たされているようでもあり、そこはオバさんたちの遊び場そのもの。ところで、これらの催事場だが、オバさんたちの高揚する気持ちに拍車をかけるかのように決まって最上階、もしくはそれに近い上のほうの階にある。そこで、ロケットのように、催事場行きのお客様方はいっせいにバーンと打ち上げられる。高いところにのぼらせる。実はこれ、できるだけ多く買い物してもらうための、営業戦略にほかならない。種を明かせばなんと単純。お客をまず催事場へ上らせると、あとは下りなければいけない。その下りる過程で、各フロアに立ち寄り買い物してもらうことを期待しているのだ。ちなみにそのことを、業界では「シャワー効果」という。実際、催事場へ足を運んだ自分やオバさんたちの行動パターンを想定してみよう。バーゲンや物産展などをひととおり見終わったら、次はどうする?メインの遊びを終えたら、もっと遊んでいきたくなるか、お茶か食事をしたくなる。レストランはだいたい催事場と同じか、それに近いフロア。スツとそこに入って休憩したとしてもしなかったとしても、あとは下りるしかない。せっかくだからと各遊び場を覗いておまけのものを買う。(そうだ、夕食のおかず)と、思い出して地下まで下りる。結局各遊び場=各フロアをいつの間にか制覇してしまう。メインの遊びが終わっても、まだまだ楽しいことが待っている。好奇心と物欲をとことん満たしてくれるこのフロア術のおかげで、オバさんたちはますますデパート好きになるだろう。これぞ、シャワー効果でものを買わせるフロア構成マニュアルだ。デパートの売場構成がどこも似たり寄ったりなのは、基本にこのマニュアルがあるため。1階に化粧品やアクセサリー売場があるのも、ここで最初にデパートならではの高級感やスーパーなどにはない華やかさを売り、お客を呼び込もうという意図による。また、デパートの主役であるオバさんが必ず足を運ぶ食料品売場は地下、婦人雑貨は2階か3階。紳士雑貨はその上、インテリア&リビング用品は最上階のすぐ下、と上から下までバランスよく分散させるところもマニュアルどおりなのだ。